免疫不全とワクチン接種
今回は免疫不全とワクチン接種についてお伝えします
看護師ブログは現役医療従事者がネフローゼ症候群に罹患
約1年後・職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています
今まで培ってきた看護の知識を整理しアウトプット
看護の知識もちょっとずつまとめていきます
ステロイド投与中の免疫不全①
細胞性免疫の低下
ステロイドを投与するとT細胞、なかでもCD4陽性ヘルパーT細胞(Th)が低下します
Thは樹状細胞により抗原提示されることで5つのsubsetに分化します
細胞性免疫で特に重要なのがTh 1、Th 2、Th 17です。Th 1はIFN-γを産生することで
細胞内寄生菌に対する免疫を司っていますが、ステロイドによる影響は
特にこのTh 1に対し最も大きいとされています
好中球遊走能の低下
ステロイド使用患者では好中球が増加します
これは骨髄から好中球の放出を増加させること
好中球が血管壁に接着して血管外の炎症部位へ遊走しようとするのを
ステロイドが抑制し結果として好中球が血管内に多くとどまるからです
ステロイド投与中の免疫不全②
皮膚バリアの破綻
ステロイド投与により皮膚が菲薄化します
皮膚が菲薄化して毛細血管を保護する組織が脆弱となり皮膚が少し圧迫されただけで
毛細血管壁が破壊されて皮下出血や紫斑を生じたり皮膚が少し伸展しただけで
裂創などの二次的皮膚損傷が生じやすくなります
ステロイドには細胞増殖を抑制することにより創傷治癒を遅延させる作用が
ある為いったんこのような皮膚障害を生じると、治癒までに時間を要します
液性免疫への影響
ステロイド投与によりT細胞ほどではありませんがB細胞も低下します
投与後数週間で免疫グロブリンも可逆的に低下し
液性免疫低下も軽度見られると考えられています
スロイドの量が多ければ多いほど、投与期間が長ければ長いほど
感染症のリスクが増加します。
感染対策
プレドニン内服中は免疫抑制作用効果によって正常な免疫機能も低下し
感染症にかかりやすくなる
感染対策として感染予防と自己の免疫を上げることが大切です
感染予防
手指の消毒・手洗い・マスク着用・うがい・換気・加湿
ソーシャルディスタンス・清掃・清潔
免疫力の向上
適度な運動・睡眠・水分補給・体調管理・バランスの取れた食事
ワクチン接種
ネフローゼ症候群罹患患者は基礎疾患があり
またステロイド投与中による免疫不全易感染性のため
感染症に罹患すると重症化しやすいと考えられています
免疫抑制状態にあるとワクチンの効果は
減弱する(一般的に7~8割)といわれています
ワクチン接種による感染防止、重症化のリスクは軽減されると考えられています
全身状態によりワクチン接種が可能か等はやはり主治医の判断になります
主治医へかならず相談し接種の判断をしてください
ステロイド離脱症候群
長期間ステロイドを外部から補給していると副腎皮質が委縮し
ステロイドを作る力が弱くなり体内で作るステロイドの量が少なくなります
この状態でステロイドを急にやめたり飲み忘れたりすると
体内のステロイドの量が急激に減少し不足したステロイドを
自らの副腎皮質からの分泌で補うことができず
副腎不全・離脱症状(低血糖、全身の倦怠感、発熱、低血圧、嘔吐…etc)などの
命にかかわる症状がおこり、さらには病態の再燃・悪化の可能性もあります
副作用が気になったり、症状が改善しても自己判断での
中止は絶対にやめましょう!
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ねふな看護師ブログは仕事中にネフローゼ症候群発症
入院後に職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています
ネフローゼ症候群で入院した経緯や療養生活で感じた
不安などを分かりやすく説明
同じ症状の方や看護・仕事に悩む方の参考になるようにしています
看護知識も少しずつまとめて紹介
約10年間異業種で働いた後に看護師に復帰した経験もあります
看護師以外の方にも仕事や日常生活をHappyにする
情報を提供できればと思っています