看護師復帰ブログでは現役看護師がネフローゼ症候群に罹患し
職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています
その一つとして、今まで培ってきた看護の知識を整理しアウトプットしています
職場復帰に向けて最近の動向も知っておかないとあっという間に取り残されてしまう不安
心不全診断と言えばBNP、2023年度ガイドラインの改訂ついて整理、まとめています
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BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
BNPは心臓の負荷が増えたり心筋が肥大すると心臓を守るために心筋から分泌されるホルモンです
血管拡張、利用作用があり、その結果心臓は楽に血液を全身に送り出せ
尿の排出が促され余計な水分や塩分が排泄されむくみや息切れが改善します
このように心臓に負担がかかった時に心臓を守るために出すのがBNP
通常の血清採血にて検査が可能なため心不全の診断基準に用いられています
一般的にBNPが高値であるほど症状は強く重症になるとされています
ただしBNPは肥満や腎機能などによって値が影響を受けるため
高いからといって必ずしも心不全と診断することはできません
BNP値が高い場合ほかの画像検査を組み合わせて心不全の診断を行い
施設によってはBNPのかわりにNT-pro BNPを測ることもあります
NT-pro BNPはBNPというホルモンのいわば副産物で
BNP・NT-pro BNPは心不全の診断に欠かせないマーカーです
BNPとNT-proBNPの違い
NT-proBNP はBNPに比べると心不全の際
上昇する比率が大きいとされています
NT-proBNPのほうがBNPよりも心不全の重症度や病態を鋭敏に反映するといわれています
ただし、NT-proBNPは腎機能の低下とともに上昇しますので腎機能が悪い患者は注意が必要です
そのため、患者の状態に合わせてどちらか一方のみを測定します
BNPに関するステートメント改訂
第27回日本心不全学会学術集会(2023年10月6~8日)で同学会が2013年に作成した
「血中BNPやNT-proBNP値を用いた心不全診療の留意点について」の改訂版が発表されました
心不全の診断や循環器専門医へ紹介基準となるBNP/NT-proBNPのカットオフ値が一部変更されたかBNP/NT-proBNPを用いた心不全管理に関する記述を充実させサクビトリルバルサルタン投与時の注意点にも言及されました
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ステートメント改訂の経緯
2013年に心不全診療における診断を目的として日本心不全学会で「血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療の留意点」が作成され臨床現場で活用されてきました
2021年・日本心不全学会・欧州心臓病学会・米国心不全学会の3学会が合同で心不全の国際定義を策定血中BNP/NT-proBNP値の上昇が心不全の重要な診断基準の一つとしてあげられました
近年増加している左室駆出率の保持された心不全(HFpEF)では左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)や軽度低下した心不全(HFmrEF)と比較し、BNP/NT-proBNPが相対的に低値であることが多いこと
HFpEFの大規模臨床試験における患者組入基準にBNP/NT-proBNP値の上昇が含まれていることなどHFpEFの診断においてもBNP/NT-proBNPは重要な意味を持ちます
上記3学会からBNP/NT-proBNPに関する合同ステートメントが2023年に公表され
今回心不全の国際定義・日本循環器学会の急性・慢性心不全診療ガイドライン
BNP/NT-proBNPに関する最新のエビデンスなどを参考とし血中BNP/NT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメントとして2023年改訂版を作成されました
ステートメント改訂
①心不全の可能性があるBNPのカットオフ値の変更
BNP値40pg/mL⇒35pg/mL
②BNP値100pg/mLに対応するNT-proBNPカットオフ値の変更
NT-proBNP値400pg/mL⇒300pg/mL
③心不全診断や循環器専門医への紹介基準の変更
BNP100/NT-proBNP400 (pg/mL)⇒BNP35/NT-proBNP125 (pg/mL)
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