心アミロイドーシス

心アミロイドーシス

アミロイドが沈着し、心臓の機能が障害された状態を心アミロイドーシスといいます。
心筋症や心不全の原因、大動脈弁に沈着すると大動脈弁狭窄症を引き起こします。
高齢の心不全患者にアミロイドの沈着が隠れている可能性が最近指摘されています。

マイナビ看護師

1.アミロイドーシス

アミロイドーシス
アミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常タンパク質が、全身のさまざまな臓器に沈着することで機能障害を起こす病気の総称
アミロイドのもととなる異常タンパク質は、現在36種類ほどあるといわれている
全身性アミロイドーシス
複数の臓器にアミロイドが沈着する
限局性アミロイドーシス
特定の臓器に限局してアミロイドが沈着する
アミロイドの沈着する部位
心臓、声帯、消化器、神経、肝臓、脾臓、腎臓など多臓器にわたる
症状は沈着するタンパク質の種類や臓器によって異なる

2.全身性アミロイドーシス

全身性アミロイドーシス
遺伝性と非遺伝性に大別される
遺伝性アミロイドーシス
ATTRvアミロイドーシス
肝臓で産生されるアミロイド一種であるトランスサイレチンが腎臓、心臓、神経など沈着するまれな遺伝性の疾患
非遺伝性アミロイドーシス
ALアミロイドーシス
心臓、腎臓、肝臓、脾臓、皮膚、神経、血管、腸、舌にアミロイドが沈着するのが特徴
多発性骨髄腫の約10～15％に合併がみられる
ATTRwtアミロイドーシス
肝臓で産生されるアミロイド一種であるトランスサイレチンが心臓や神経などに沈着する非遺伝性の疾患で、男性に多くみられる
AAアミロイドーシス
関節リウマチ、血管炎症候群、自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患によって、二次的に起こる

3.心アミロイドーシス

心アミロイドーシス
アミロイドーシスのうち心臓に沈着し心機能の異常や不整脈などを来すもの
主な病型はALアミロイドーシスとATTRアミロイドーシスに大別される
症状や検査所見は病型によらず共通点が多く見られる
症状
心不全症状、めまい、失神などで他の心疾患でもよく見られる症状のため総合的な判断が重要

4.心アミロイドーシス症状の機序

心アミロイドーシス症状の機序
心臓の筋肉にアミロイドーシスが溜まることにより、心臓が固くなる
⇒心不全と同様の症状が現れる
心臓へ血液をくみ上げるポンプの役割が弱っているために起こるむくみ
肺に水が溜まることによる息切れ、呼吸困難
心臓から全身に血液が回らなくなるために全身倦怠感、手足が冷たいなど

心臓の刺激伝導系にアミロイドは溜まりやすい特性がある
⇒徐脈や失神やふらつきなども起きる

5.診断ため検査

診断ため検査
心電図検査
最も基本的かつ簡便な検査
心電図の異常が心アミロイドーシスの診断の入口となることも少なくない
この病気に特徴的な波形変化ではなく進行具合や重症度によっても異なり、早期には心電図異常がないこともある
心臓超音波(心エコー)検査
心電図と並び基本的かつ重要な検査
心臓の機能や形態を確認することができる
心臓にアミロイドが沈着すると、さまざまな程度の心機能障害、心筋の肥厚(心肥大)や輝度の上昇、心膜液の貯留などが見られる
心肥大はこの病気を疑う重要な手がかりとなる所見
心臓MRI
心臓の形態や機能評価、ガドリニウム造影剤を使用することによりアミロイドの沈着と心筋のダメージなどを評価する
肥大型心筋症やファブリー病といった類似する他の疾患の鑑別にも有用
核医学検査
99mテクネシウムピロリン酸シンチグラフィは特にATTRアミロイドーシスを診断する能力に長ける
心臓カテーテル検査(心筋生検)
心アミロイドーシスの確定診断は心臓カテーテルによる心筋生検によって行う
専用のカテーテルを用いて心筋組織の一部を採取し、顕微鏡で観察したりする検査
心筋にアミロイドが沈着していることが証明できれば確定診断
アミロイドの沈着を認めた場合にはさらに詳しい分析を行い、ALアミロイドーシスやATTRアミロイドーシスといっ た病型を確定する

6.心アミロイドーシスの病型分類

心アミロイドーシスの病型分類
ALアミロイドーシス
形質細胞に異常が起こり、免疫グロブリン軽鎖という異常なタンパク質が産生され、アミロイド線維を形成して沈着する
※形質細胞
骨髄で作られる白血球の一種であるB リンパ球(B細胞)が成熟することでできる細胞
正常な状態では、細菌やウイルスが体内に侵入すると一部のB細胞が形質細胞に変化する
形質細胞は
※免疫グロブリン軽鎖
外来性物質(抗原)による体内への侵入に反応して産生されるものを抗体という
その抗体産生を引き起こした抗原に特異的に結合できるものを免疫グロブリンという
抗体は4本の鎖からなるＹ字型の作りで、Ｙ字には同じ形の重鎖と軽鎖が２本ずつある
細菌やウイルスを撃退する抗体を作り出し、感染や疾患の発症を阻止する

ATTR アミロイドーシス
トランスサイレチンが沈着する
遺伝子異常に由来するATTRvアミロイドーシス
非遺伝性で加齢に伴うATTRwtアミロイドーシスに大別される
※トランスサイレチン
アミロイドのもととなるタンパク質
4 つ1 組で血液中に存在するトランスサイレチンは、何らかの理由でバラバラになり、その後、ふたたび糸くずのような形に集まる
バラバラになる理由は現在解明されておらず、その糸くずはさらに集まり、水や血液に溶けにくいかたまりに変わってしまう

7.治療

治療
アミロイドーシスの病状進行を防ぐ治療
ALアミロイドーシスの治療
化学療法や自家末梢血幹細胞移植
ATTRアミロイドーシスの治療
薬物療法：タファミジス
心不全や不整脈など合併する症状への治療

関連記事はこちら

看護情報心不全

気になる職場の生の情報満載 看護師転職サイト『ナースJJ』

前回の記事はこちら

心不全による安静療法と弊害

仕事選び転職サイトはこちら↓↓

看護師資格あるし復職しようかな？ブランクありの求人も掲載中【看護師求人EX】

最後までご覧いただきありがとうございます
看護師ブログ：ねふなHappyワークライフバランスは現役看護師がネフローゼ症候群発症し職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています

入院した経緯や療養生活で感じた不安など実体験を、同じ症状の方や看護や仕事に悩む方の参考になればと思っています

約10年間異業種で働いた後に看護師に復帰した経験もあります
看護師以外の方にも仕事や日常生活をHappyにする情報を提供できればと思っています