虚血性心疾患カテーテル治療
今日は看護知識:虚血性心疾患とカテーテル治療について記載しています
このブログは現役看護師がネフローゼ症候群に罹患
約1年後・職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています
今まで培ってきた看護の知識を整理しアウトプット
看護の知識もちょっとずつまとめていきます
虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、冠状動脈が動脈硬化などの原因で狭くなったり、閉塞したりして
心筋に血液が行かなくなることで起こる疾患です
動脈硬化とは、老化によって血管が硬くなったり、血管の壁に脂肪などの固まりが
蓄積して血管の壁の一部が盛り上がり、血管の内腔が狭くなっている状態です
冠状動脈
心臓の周りを通り、絶えまなく収縮・拡張する心筋に、酸素や栄養を含む血液を
送りこんでいる血管で、心拡張期に循環されます
大動脈起始部の冠動脈洞(バルサルバ洞)から派生し、右冠状動脈と左冠動脈にわかれ
左冠状動脈は前下降枝と左回旋枝に分岐します
冠状動脈AHA分類
カテーテル治療①
カテーテル(医療用の細長い管)を、手首・肘・鼠経の動脈を穿刺し、X線画像を見ながら
心臓近くの冠動脈の入口まで進めます
血管自体は、X線では見えないため、カテーテルを通じて造影剤を血管の中に流し
X線撮影し血管の状態を見る事ができます
カテ―テルで病変が見つかった場合は緊引き続き治療を行う場合もあります
以下の理由で検査と治療を別日程で行うこともあります
・造影剤の使用量が多くなり、造影剤腎症のリスクが高くなる
・放射線被爆量が多くなる
・治療をする場合は事前に抗血小板剤を2種類(DAPT)内服することを推奨される
カテ―テール治療②
POBA
先端にバルーン(風船)がついた細いバルーンカテーテル(径1mmほど)を使用します
冠動脈造影検査で使うカテーテルより少し太めのガイディングカテーテルの中を通して
バルーンカテーテルを冠動脈の狭窄部位まで押し込みます(図②)
折り畳んだバルーンを膨らませて狭窄部を押し拡げます(図③)
POBAがうまくいけば、狭心症の症状はなくなります
しかし、POBAが導入された当初は、実施中や心臓カテーテル検査室を出て間もなく
治療部位が血栓で詰まることが5〜10%の頻度で起こっていました
この現象を「急性冠閉塞(SAT)」といいます
急性冠閉塞は、POBAにより引き裂かれた冠動脈壁の中身が動脈内にむき出しになり
その表面に血栓がこびりつくことで発生すると考えられています
カテーテル治療③
冠動脈ステント
ステントは網目状のメッシュの金属の筒で、バルーンカテーテルに巻き付けてあります
冠状動脈の狭窄病変部位をバルーンで拡張してから、ステントを血管の中に留置し
冠状動脈壁の内側に押し付け、狭くなった血管を内側から支えるように広げます
冠動脈ステントを展開して留置することで、動脈壁の解離はきれいに押し拡げられる
ようになり急性冠閉塞はPOBAの50%まで減少しました
冠動脈ステントを使用してもまだ20〜30%の患者さんに再狭窄が発生しています
カテーテル治療④
薬剤溶出性ステント(DES)
DESの表面には、抗がん剤または免疫抑制剤が塗り付けてあります
塗り付けられた薬剤は、1〜2ヶ月かけゆっくり溶け出るように工夫されています
再狭窄の原因である平滑筋細胞や線維細胞の増殖はPCI後の1〜2ヶ月間が
ピークなのでDESを留置すれば効かせたい期間だけ薬剤が作用します
再狭窄率は10%未満に減少しました
薬剤溶出性バルーン(DCB)
薬剤が塗布されたバルーンの使用も可能となり治療の成績の向上につながっています
以前は、ステント内再狭窄を来たした場合には、バルーンで再度広げるか
留置したステントに重ねてもう新たにステントを入れるという治療が一般的でした
薬剤溶出性バルーンの登場により再々狭窄の予防効果が期待できるようになりました
DESと比較したDCBの優位点
・バルーンの表面に薬剤が一様に塗布されている為、血管壁への薬剤の分布も均一になる
・薬剤の放出を制御するポリマーは使用していないため、アレルギー反応がない
・ステントのような構造物を留置しないので、高度屈曲病変や小血管などステントの
留置が困難な部位にも使用できる
合併症①虚血性心疾患に起因するもの
不整脈(心室細動、心室頻拍、房室ブロック)
心筋梗塞により心筋がダメージを受けることで不整脈を起こすことがあります
梗塞病変の個所によって発生する不整脈は変わってきます
心タンポナーデ、心破裂
急性心筋梗塞で心筋が壊死していくと心筋自体が希薄化し
そこに過剰な圧がかかることで穴が開くことがあります
心臓を包んでいる心嚢内に血液がでて充満することで心臓拡張できずショック状態となります
心室中隔穿孔
左心室と右心室の中隔が希薄化し圧がかかって穴があくと
血液の流れが大きく乱れ重篤な心不全をきたします
乳頭筋断裂、僧帽弁逸脱症
僧帽弁の開閉を担っている乳頭筋の壊死した馬場井
僧帽弁の機能に障害を生じ血液の逆流を起こすことがあります
心不全
心筋が壊死することで心臓全体の動きを悪化させ
心臓のポンプ機能を低下させ心不全症状を合併することがあります
心内血栓、血栓閉塞症
重症な心筋梗塞では心臓のポンプ機能が
低下するk十で心臓の中で血液が停留することがあります
そのため、心臓のンかに血液がうっ滞し血栓をを形成することがあります
血栓が血流にのって能の血管を閉塞させていしまうことで脳梗塞を発症することがあります
合併症②治療手技に起因するもの
血管損傷
カテーテルで血管を傷つけてしまうことがあります
病変部位だけでなく、心臓まで管を通している血管が傷つくこともあります
心筋梗塞、脳梗塞
血管内にカテーテルを入れることでカテーテルと接触した血液が固まることがあります
塊が冠状動脈に飛び先を詰まらせてしますと心筋梗塞に脳の血管に飛んでしますと脳梗塞となります
合併症を予防するために治療中はヘパリンを投与します
カテーテルは心臓と体外を繋いでいるのでカテーテルから
空気が心臓もしくは血中に混入することがあります
下肢、上肢、腹部臓器などの塞栓症、コレステリン塞栓症
動脈硬化が強い結果に新しく柔らかい動脈硬化の塊が存在する血管にカテーテルが通ることで
この動脈硬化の塊が砕け、血流のって全身に散布され様々な臓器血流を低下させ臓器を壊死させることがあります
心タンポナーデ
カテーテル治療でワイヤー挿入時・バルーン治療時・そしてステントを留置する際に、冠動脈や心筋が障害され出血することがあります
不整脈
カテーテルの刺激で重篤な不整脈が生じることがあります
合併症③治療手技に起因するもの
出血・血腫
合併症予防のため事前のDAPT内服や術中のヘパリン使用により出血すると止血困難の場合があります
場合によっては輸血を必要とする後腹膜血腫、仮性動脈瘤、動静脈瘻などがあります
アレルギー
治療中には造影剤や局所麻酔薬など様々な薬剤を使用します
以前造影剤でアレルギーを起こしたことがある方・喘息がある方
その他の薬にアレルギーがある方などは術前にアレルギーを
一時的に抑える薬(ステロイドなど)の投与を行うことがあります
造影剤性腎症、腎不全
造影剤は腎臓から排泄されるため、腎臓に負担がかかることがあります
腎臓の機能が正常な方は殆ど腎機能が増悪することはありませんが
腎臓の機能が元々悪い方の場合には特に注意が必要です
感染症
カテーテル挿入部から最近などが混入し血液感染症を起こすことがあります
放射線皮膚炎
治療が長時間かかったり治療を何度も受けた場合
放射線(X線)により皮膚症状を引き起こすことがあります