ドブタミンとドパミン似ているようで違う
使い分けってどうするの?
その違いや特徴を知っていると予測して看護実践にもあたることができます
指示が出た時にも「考えてたとおり!」ニヤリとすることも!
ここでドブタミン・ドパミンの働き作用をまとめました
循環作動薬の知識を日々の看護実践にいかしてみてください
働きポイント①
ドパミン、ドブタミンともに循環作動薬に含まれ
循環作動薬とは血管収縮薬・昇圧薬・強心薬・交感神経刺激薬等の総称
カテコラミンをはじめとした種々の血管作動薬が用いられ
ドパミン、ドブタミンは循環作動に対する作用機序は異なっています
心臓を含めた血管以外への作用機序もそれぞれ異なります
働きポイント②
心拍出量を上げる薬剤が強心薬・血管抵抗を上げる
薬剤が血管収縮薬になります
ドパミンは中用量では心拍数増加・高用量では
末梢血管収縮し血圧を上昇させます
ドブタミンは高用量以下では末梢動脈血管
拡張作用させ血圧を低下させます
血圧は以下の因子で維持されます
血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
心拍出量を決定する因子
循環血液量
心拍数
心筋収縮力
末梢血管抵抗を決定する因子
血液の粘度
動脈壁の弾性
血管床の面積
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働きポイント③
アドレナリン受容体
カテコラミンが作用する受容体(アドレナリン受容体)は
「α受容体(α₁受容体とα₂受容体)」
「β受容体(β₁受容体、β₂受容体)」に大別されます
受容体はシナプス後膜に存在し神経伝達物質と
結合することで生体反応を起こします
α₂受容体はシナプス前膜にも存在する自己受容体で
遊離された神経伝達物質によって遊離を抑制します
これを負のフィードバックといい
ドパミンはα受容体とβ₁受容体にドブタミンはβ₁受容体に大きく作用します
働きポイント④
ドパミンの働き
投与後2~4分・ドブタミンは投与後1~2分で作用を発揮します
即効性はありますが生体内で速やかに代謝されるため
効果持続時間はどちらも10分程度です
ノルアドレナリンの前駆物質であり
主に神経伝達物質として作用します
ドパミンの前駆物質であるL-ドーパは
パーキンソン病治療薬として使用されています
心臓のβ₁受容体に作用して収縮力を増加させる作用を持ちます
また血管のα受容体に作用して末梢血管を
収縮させる作用により昇圧効果を現します
さらに腎臓のドパミン受容体のD₁受容体に作用して
腎血流量を増加させた結果、利尿を引き起こします
作用は投与量によって現れる効果が異なります
これは濃度に依存してβ₁受容体・α受容体・ドパミン受容体を刺激するためです
①低用量(0.5~3㎍/kg/分)で投与
腎臓・腸間膜にあるドパミン受容体を刺激し血管(腎動脈や腸間膜動脈など)を拡張して血流を増やす
腎尿細管にも作用してナトリウム排泄を促し利尿効果を示す
②中用量(3~10㎍/kg/分)で投与
β₁受容体を刺激して心筋の収縮力を増強する
心拍数を増やし心拍出量が増大する
③高用量(10㎍/kg/分以上)で投与
α受容体を刺激し、末梢血管を収縮させ血圧をあげる
後負荷が増大することから、この濃度では心不全の治療作用はない
働きポイント⑤
ドパミン副作用
洞性頻脈があります
この陽性変力作用は投与初期心拍出量を増加させますが
虚血性心疾患においては病態を増悪させ
冬眠心筋(hibernating myocardium)状態を誘発する可能性があります
そのほかに換気抑制・酸素化悪化・無呼吸時間の延長
換気血流ミスマッチの増悪・心臓手術患者では腎機能悪化の可能性もあり
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働きポイント⑥
ドブタミンの働き
人工的に合成されたカテコラミンで選択的に心筋のβ₁受容体に
直接働きかけ心筋収縮力を増強し心拍出量を増やし
この効果はドパミンよりも強いです
β₁受容体刺激作用による心拍数の増加はドパミンよりも弱い
ドブタミンの作用も投与量によって現れる効果が異なります
①高用量(10㎍/kg/分)以下で投与
血管のβ₂受容体に作用して軽度の末梢動脈血管拡張作用を起こし血圧を低下させる
①高用量(10㎍/kg/分)以上で投与
α受容体を刺激して末梢血管を収縮させ血圧を上昇させる
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働きポイント⑦
ドパミンとドブタミンの使い分け
一般的には、軽度の血圧低下(収縮期100mmHg以下)と
心筋収縮力の低下を改善させるにはドブタミンを急性循環不全など
著しい血圧低下(収縮期80mmHg以下)の改善にはドパミンを
著しい血圧低下と心筋収縮力の低下の改善には
ドブタミンとノルアドレナリンの併用をする医師が多いです
その理由は
ドブタミンはドーパミンより心拍数を上昇させず心臓に負荷をかけにくいです
またドブタミンは末梢血管抵抗も上昇させにくいので
少ない容量で投与すれば血管拡張作用がみられます
すると肺毛細血管も拡張するため後負荷を増やしません
心拍出量、末梢循環血液量を維持しながら低血圧を防ぐことができ
ドーパミンよりも催不整脈作用も出現しにくいメリットもあります
用量の増減によって心筋収縮力が増減するため
効果がわかりやすい等の理由でドブタミンを優先的に選択されます
急性循環不全(心原性ショック・出血性ショック)では
主要な臓器の灌流圧が下がること避けるため副作用である
催不整脈作用などが出る恐れがあるとしてもドパミンを
使用し体血圧を上げ主要組織から優先的に血流を改善させます