ICD
現役看護師がネフローゼ症候群発症し療養生活中に
今まで培ってきた看護の知識を整理しアウトプットしています
今回は致死的不整脈である心室頻拍・心室細動による
突然死を予防するICDについて記載しています
ポイント1:致死的不整脈
致死性不整脈
基礎疾患の有無に関わらず、放置すると短時間で死亡に至る危険性の高い不整脈
頻脈性不整脈
心室細動、持続性心室頻拍、トルサード・ド・ポワンツ
脈拍が250〜300回/分(正常:50〜100回/分)ほど脈が速くなる不整脈をいいます
このうちもっとも重症なのが心室細動です
心室細動になると心臓の心室が300回/分以上不規則に痙攣し
正常の脈拍に戻す処置をしなければ、死に至ってしまいます
徐脈性不整脈
高度房室ブロック、完全房室ブロック、洞不全症候群
心房から心室への刺激伝導が途中で切れてしまったり脈拍が30回/分拍ほどになったり
数秒間心拍が止まったりするため失神に至ります。死に至る例は少ないです
ポイント2:心室細動
心室が突然速く拍動すると、心臓はポンプとしての役割を充分に果たせなくなり
血圧低下、めまい、失神などの症状が出現します
心室が原因で脈が速くなるものの中には突然死を来たす可能性のものがあります
①心室細動(VF)
心臓が規則正しく拍動できなくなリ、心室の筋肉がばらばらに興奮しはじめた状態。
心室細動になると心室は1分間に250-300回以上もの数で興奮しますが、震えるような
動きにしかならないため、ポンプとしての機能は完全に失われます
脈は触れなくなり、5-15秒で意識を失い、その状態が5-10分続くと
脳死の状態になる可能性が高いといわれています
ひとたび心室細動になると自然にそれが止まり回復することは稀で、電気ショックを
かけることで治療されます。この電気ショック治療のことを直流除細動といいます
ポイント3:心室頻拍
②心室頻拍(VT)
正常な心臓のリズムではなく、心室から異常なリズムが発生する不整脈
心室頻拍になると心室は1分間に100回以上もの数で興奮します。
心臓のポンプとしての機能は充分には果たせなくなりますので
眩暈や失神を引き起こしたり長く続くと心不全症状を引き起こします
また心室頻拍から心室細動へと移行することもあります
心室頻拍は抗不整脈薬の静脈注射や頻拍より速いスピードで心室を刺激することで
停止することもありますが血圧が低下していたり意識が消失していたりするときには
電気ショックによる早急な治療が必要です
心室細動や心室頻拍には原因となる心臓病がある患者様とない患者様とがいます
基礎心疾患には心筋梗塞、拡張型心筋症、肥大型心筋症、不整脈源性右室心筋症などの
病気がありその場合には心臓病に対する精査や治療も必要となります
ポイント4:心室細動・心室頻拍の原因疾患
心筋梗塞
病肥大型心筋症
病気拡張型心筋症
病気不整脈源性右室異形成
特発性心室細動(ブルガダ症候群など)
ポイント5:植え込み型除細動器
ICD(Implantable Cardiovertor-Defibrellator)
心室細動・心室頻拍による突然しの可能性のある救命には除細動治療が不可欠とされています
ICDは不整脈が起こらないように治療するものではありません
心臓の脈を常に監視し心室細動・心室頻拍を自動的に感知し
抗頻拍ペーシングや電気ショックを行う機械です
不整脈自体を予防するものではありませんが
致死性不整脈を停止させることにより心臓突然死を予防します
ICDは本体とこれに接続した細い電線(リード線)で構成されたもので
ペースメーカとよく似ていますが、使用目的と働きが違います
ポイント6:ICD手術方法
手術方法
①全身麻酔もしくは静脈注射を使用下にて手術されます
②鎖骨下の胸部皮下に植込み型除細動器が入る約5cmポケットを作成されます(ICD本体70~80g)
③リードを通常は左の鎖骨の下へ走っていく静脈に沿って心臓の中に挿入し心臓の内壁に固定します
④心臓側のリード線の反対側にICDを接続し皮下のポケットにしまい、皮膚を縫合します
⑤心室細動や心室頻拍を誘発し、植込んだICDでその不整脈を止めることができるか試験します
ポイント7その他の機能
オーバードライブ
自己調律よりも高頻度の電気刺激を数十秒加えた後に突然中断すると
自己心拍の回復が一時的に抑制される現象
心室頻拍などの頻脈性不整脈には、より速い電気刺激でペーシングを
して不整脈を止める働きペースメーカ
脈が異常に遅くなる徐脈性不整脈のときに使用する
一般的なペースメーカの役割も持ち合わせています