アセスメント
今回は看護知識
急性冠動脈症候群アセスメントについて記載しています
現役看護師がネフローゼ症候群発症し療養生活中に
今まで培ってきた看護の知識を整理しアウトプットしています
急性冠動脈症候群
急性冠動脈症候群(Acute Coronary Syndrome)
冠動脈の急性虚血を起こす疾患群
①ST上昇型心筋梗塞(ST segment elevation myocardial infarction:STEMI)
②非ST上昇型心筋梗塞(non-ST segment elevation myocardial infarction:NSTEMI)
③安静時不安定狭心症(unstable angina:UA)
・「症状(胸痛等)」「12誘導心電図の変化」「血中トロポニン値の上昇」のうち
2つを満たせばACSと診断されます。
・心電図変化の位置にて虚血部位を推測できます。心電図は時間経過とともに
変化するため心筋梗塞発症時期確認することができます。
虚血性心疾患と心電図についてはこちら
合併症
①心破裂・乳頭筋断裂
ショックに陥ることが多く緊急手術の適応となります
心原性ショックの場合死亡率が40~70%と高く早期診断と血行再建が重要です
②心不全
心筋梗塞の20~60%に合併し、前壁梗塞によるものが多いです
③不整脈
90%以上に合併し、特に心室性不整脈の出現の監視・予防が重要
アセスメント
症状
プラークの破綻によって引き起こされた冠動脈内の出血や血栓形成
冠攣縮などにより血流が途絶えると胸部症状が出現します
胸部症状は「胸痛」だけでなく「肩こり、歯痛、背部痛、胃部痛」など様々です。
胸痛確認内容
種類・場所・痛みの頻度(初めて、主t現パターンがあるか)
時間(いつから、どれくらい続くか)、安静でも軽減しないか
ニトログリセリンの効果の有無
緊急性に対応が必要な疾患(ACS、急性大動脈解離、肺梗塞など)の鑑別が必要です
心電図・採血にて早急に心電図変化・血中トロポニン値の確認が重要です
冠動脈の閉塞部位と心電図
12誘導心電図にて梗塞波形が出現する誘導が閉塞部位によって異なります
梗塞波形から閉塞した冠動脈を予測することが重要です
Ⅱ、Ⅲ、aVFに梗塞波形を認めた場合下壁梗塞の可能性が高く右冠動脈の閉塞が疑われます
右冠動脈は洞房結節枝や房室結節枝を分岐していることが多いため閉塞した場合
房室ブロックなどを合併する可能性も高いです
治療
再灌流療法までの時間が短ければ短いほど心機能の維持、回復、死亡率の低下が期待されます
患者様へ対応時は診断と初期治療が並行して行える準備が重要です
①薬物療法
血栓予防、疼痛管理
②経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention:PCI)
③冠動脈バイパス術(Coronary Artery Bypass Graft:CABG)
ACSに対する血行再建術は可能な限り早期に行われることが
望ましいため速やか実施可能なPCIが第一選択となります
重症度判定
ACS患者は重篤な合併症を引き起こしやすく突然死のリスクが高いです
重症度判定はKillip分類やスワンガンツカテーテルによる評価(Forrester分類)
心エコーにより評価ができます
Killip分類
Ⅰ度:肺野聴診:ラ音なし 心音聴診:Ⅲ音なし
Ⅱ度:肺野の50%未満でラ音を聴取 心音:Ⅲ音あり
Ⅲ度:肺野の50%以上でラ音聴取(肺水腫)
Ⅳ度:心原性ショック
※Ⅰ度上がるごとに死亡率は約2倍となる
Foresterの分類
縦軸は心係数(Cardiac index:CI)、2.2L/分/㎡
横軸は肺動脈楔入圧(Pulmonary Arterial Wedge Pressure:PAWP)18mmHgを
境界とし、肺鬱血と末梢循環不全の程度により4分割し分類
合併症の管理①
心原性ショック
ポンプ失調により左室収縮機能障害が生じ心拍出量が減少し組織低還流となります
要因は心筋梗塞によるもの重症不整脈、心不全の悪化により至る場合もあります
血圧90mmHg以下、心拍数の増加、末梢循環不全、脈拍は触知困難、呼吸は浅く
促迫、肺水腫による呼吸困難を呈します
梗塞部位が広範囲であれば突如ショック状態に至ることもあります
また心不全の症状が悪化した結果ショックに至ることもあります
心破裂
突然死の原因であり、緊急手術となります
心筋梗塞の発症直後は梗塞部位が脆弱化しているため、心破裂を起こしやすく
発症当日から1週間以内発症することがほとんどです
高齢者、女性、高血圧、一枝病変の症例は心破裂のリスクが高いです
心筋の非薄化症例では血圧上昇が心破裂の誘発因子となるため
血圧のコントロールが重要です
合併症の管理②
致死性不整脈
不整脈は突然死の原因となるがモニタリングによる発見、早期対処ができます
心室細動(VF)、持続する心室頻拍(VT)は最も緊急性のが高く致死性不整脈と呼ばれます
VT・VFの最も効果的な方法は除細動です
除細動は心筋全体を脱分極化させ、心筋の出来的興奮をリセットし正常な電気活動を
取り戻します
VFが持続すると心筋組織のアシドーシスが進行し細胞膜が不安定化、エネルギーの
枯渇により除細動による心拍の再開が困難になります
除細動が致死的不整脈発生から速やかに行う必要があります。
徐脈・頻脈の評価と対応
不整脈を発見した場合、直ちに呼吸・循環を評価し心肺停止であれば速やかに蘇生を開始します
不安定な徐脈の場合は経皮ペーシングの準備をし、不安定な頻脈の場合は
カルディオバージョンの準備を行ないます
右冠動脈が閉塞あるいは狭窄すると房室結節への血流供給が障害され房室ブロックが
発生することがあります
Ⅱ度A-V block Mobitz Ⅱ型、Ⅲ度A-V blockなどアトロピン無効症例に対しては
速やかに経皮ペーシングを開始します