循環器関連の病棟では日常使いでお世話になってる、モニター心電図
「アラームに鈍感になってる」と言われることもしばしば。
「モニターアラームが鳴ったら患者へGO」そんな気持ちで心電図の基本とモニター心電図をまとめました。
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心臓の電気的活動と心電図
心臓は、生体のポンプとして収縮・拡張を続けていますが、これは『心臓の機械的活動』といわれるものです。この『心臓の機械的活動』を引き起こす源になる活動があります。それは『心臓の電気的活動』とよばれるもので、心電図とはこの電気的活動を記録したものです。
心臓の電気的活動には放電(興奮状態)と充電(回復状態)というものがあり、これらの現象を機械的に波形に表したのが心電図であるともいえます。
放電(興奮状態)=脱分極 充電(回復状態)=再分極と言います。
心電図検査
心電図(electrocardiogram:ECG)
心臓の電気信号を身体の表面からみたものです。
心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉にわずかな電気刺激により興奮し拍動します。
このような心臓を動かす電気の流れを測定するのが心電図検査です。
心電図検査は、主に2種類の異常がないかを調べることができます。
①脈の乱れがないか(不整脈)
②心臓の筋肉に異常がないか(心筋梗塞、狭心症、心筋症など)
心電図波形
P波:心房の興奮(脱分極)過程
QRS群:心室中隔と左右心室筋の興奮(脱分極)過程
T波:心室内の電気的回復(再分極)過程
基線:T波の後は、心室の活動はみられず、心臓は静止状態にあり波のない直線
心房の興奮(脱分極)がおきると心臓は機械的活動として収縮を始めます。心電図上ではP波が出た後心房は収縮し始め、QRS群の終末点では心室が収縮し始めます。
モニター心電図
患病棟などで装着されている心電図はモニター心電図とよばれ患者の心電図異常を24時間リアルタイムに観察するものです。
モニター心電図では、一般的に標準肢誘導(双極肢誘導)が用いられ電気信号は左の腰付近に向かっていきます。
モニター心電図では、近づいてくる電気信号を正面にとらえているのでQRSの波形は上向きになっていて、最も心臓の収縮の流れを見やすい位置になっています。
目的
①心拍数の監視
②不整脈の監視
③波形の変化を長時間連続的に監視する
不整脈などの電気活動の異常の早期発見・対応につなげます。
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モニター心電図はなぜⅡ誘導
モニター心電図の基本的装着ではⅡ誘導が画面に現れます。
Ⅱ誘導は右上から左下への興奮の伝導を心電図波形で上向きに描出します。洞結節は心房の右上にあり、信号は右上から発信され、心房の興奮は右上から左下に向かいます。
つまり、心房興奮の集合体であるP波はⅡ誘導で大きく、上向きに描かれるわけです。
心室興奮でも、ヒス束から出た信号は、左室筋が多いのも関係し、全体としては右上から左下に伝導します。
つまり心室収縮の波であるQRS波もⅡ誘導で大きく、上向きの波として現れるわけです。
Ⅱ誘導はP波・QRS波とも大きく、上向きなので、不整脈監視に適切な誘導です。
装着
多くの場合、右鎖骨下に陰電極(赤)、左鎖骨下にアース(黄)、左側胸部に陽電極(緑)を装着します。
この位置では、緑から赤、つまり下から上を見ていることになるので、12誘導のなかでもⅡ誘導に近い波形になります。
ノイズが混入せず、P‐QRS‐Tがはっきりしているモニター波形が理想的です。
装着ポイント
①電極シールが乾いていない
②貼る部分の汚れと角質を落とす
③装着場所は筋肉の上を避ける
Ⅱ誘導はP波もQRS波もよく見える誘導ですが、見えにくい場合は、モニターのほうでⅠ誘導やⅢ誘導に切り替えることもできます。
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3点誘導法
3点誘導では、左の腰に付けている電極がプラス側となり、右肩の電極がマイナス側となっています。この関係から四肢誘導の第II誘導に相当する誘導です。3点誘導法でも位置を変えること、必要な誘導に変更することができます。
第Ⅱ誘導
標準の誘導で、最も一般に用いられています。
Ⅱ誘導はP波もQRS波も比較的よく見える誘導です。
NASA誘導
赤を胸骨上縁、緑を胸骨下縁に装着します。筋電図の混入が最も少ない誘導法です。
この誘導もP波の鑑別がしやすい特徴があり波形はV2や第Ⅲ誘導波形に近似します。
虚血に伴うSTやT波の変化を捉えたい場合にはこの誘導が適しています。
MCL5誘導
緑をV5の位置に装着します。心筋虚血に伴うSTやT波の変化を捉えたい場合には、この誘導が適しています。
MCL1誘導
緑をV1の位置に装着します。胸部誘導のV1波形に近似しています。
V1波形はP波が観察しやすく脚ブロックや心室期外収縮の起源の判定ができます。
R波より下向き波形のS波が大となり、心電図の波形は下向きが深い形になります。
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5点誘導法
赤・黄・緑に黒・白を加え5点で誘導を変えるのが、5点誘導法です。
黒をアースに右下胸部に貼り付けゼロ点とします。黒を基準点にし右上胸部の赤はaVR、左上胸部の黄色はaVL、下胸部の緑はaVFになります。また赤・黄・緑の電位差はⅠ、Ⅱ、Ⅲ誘導になります。
さらに白をV1~V6の必要な位置に貼れば、黒との間で胸部誘導が描出され、胸部誘導波形もモニターできます。
不整脈の観察が目的の場合はV1を、心筋虚血の判定が目的の場合はV5、V6が適切です。
波形がおかしいと感じたら
波形がおかしいなと感じた場合
①電極シールの貼付場所をチェック
皮下脂肪が多く電気信号を読み取れない場合や、胸郭の動きが大きく雑音が混入する場合なども原因に挙げられます。その際は、シールを貼る位置を少し変えてみることで正常な波形が表示されることがあります。また、シールが剥がれかかっている場合もうまく波形が表示されませんので、シールの粘着性などもチェックします。
②リードが揺れていないかチェック
モニター心電図は、リード(赤、黄、緑の線)が服の中から外へ出ているため、体の動きによってリードが揺れやすくなります。移動時など、リードが揺れることで雑音が入る場合があります。その際は、リードが揺れないようにテープで固定するか、モニター心電図の本体をポケットに入れるなどの対応を行います。
異常を発見した場合
12誘導心電図での精査が必要
モニター心電図では得られる情報が少ないため、12誘導心電図にくらべると診断的価値は高くありません。モニター心電図は、普段の生活の中で心臓の異常を発見するために装着されるものであり、早期発見と早期診断につなげることが重要です。
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