心不全のアセスメントを循環器専門病院にも勤務し
学び実践してきた知識を身体所見・Frank-Starlingの法則
NYHA分類の視点でまとめています
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アセスメント
患者から得た主観的情報と医療者の観察から得た客観的情報を解釈
統合しながら、患者を取り巻く看護上の問題点を理論的に分析すること
患者が抱える問題点や優先度を判断し
看護ケアの方向性を明確化することにつながる
主観的情報
患者の主訴、言動(痛みや苦痛、悩みなど)
客観的情報
バイタルサイン、検査データ、表情、皮膚や排液の状態など、客観的に把握できるもの
※収集した情報は、看護学的な視点で分析することが求められる。
下記のような看護理論を枠組みとして展開されます。
V.ヘンダーソン:14の基本的欲求
M.ゴードン:11の機能的健康パターン
C.ロイ:4つの適応形式
A.マズロー:5つの人間のニードの階層構造
NANDA-l:13領域による分類
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心不全アセスメントポイント1
身体所見
呼吸困難、発作性夜間呼吸困難
腹部や下肢に分布する血液が仰臥位になる事で心臓・肺へ移動することで出現する
下肢の間質性浮腫からの水分が循環血漿中に入り循環血液量が増加することで出現する
発作性夜間呼吸困難は就寝後早期(2~3時間)に出現することが多いです
水分の移動が原因で症状が出現する為、起坐呼吸によって症状は軽減
鬱血性心不全の患者が座位を好むのはこのためです
症状を確認する
起座の程度と症状の変化や聴診による呼吸音(特にラ音)の有無と聴診範囲を確認
ラ音は、はじめは肺低部のみ聴取され徐々に上方へと広がります
心不全アセスメントポイント2
酸素の需要と供給
・心臓の役割は全身に酸素と栄養を運搬することです
そのため心臓自身の能力だけでなく心臓が供給する
酸素や栄養が全身組織の需要に見合っているか否かが重要
低拍出性心不全
心臓のポンプ機能が低下し心拍出量が減少した心不全
高拍出性心不全
全身の酸素消費の増加や血液の運動能力の低下による血液の不足した心不全
※心不全をアセスメントする際は心拍出量と心拍出量を規定する因子を評価しさらに心臓が運搬する酸素の量(供給)と組織が消費する酸素の量(需要)のバランスも評価しなければなりません
「組織に酸素を運搬する能力」評価指標
酸素運搬量(DO2)=心拍出量×酸素含量(CaO2)×10
酸素含量(CaO2)=1.34×Hb×(SpO2/100)+0.00031×PaO2
※Hb低下が問題になるの一つは酸素含量の低下によって酸素運搬量が減少する為であり
そのため心拍出量が増加し心負荷がすることです
「組織の需要と供給とのバランス」評価指数
混合静脈血酸素飽和度(SvO2)によって評価できます
SvO2低下:酸素供給減少、心拍出量低下、酸素需要の増加
SvO2上昇:敗血症、低体温
心不全重症度判定指標
心不全アセスメントポイント3
Starlingの法則
心筋は弛緩期に伸展していればいるほど強い収縮力を発生する
つまり心臓のポンプ機能は、心筋が伸びれば伸びるほど大きくなるとの考え方です。
Frank-Starlingの法則
左室の心機能曲線は前負荷と一回拍出量で規定されます
正常(上の曲線)
前負荷が増加すると、一回拍出量も増加します。
しかし、ある時点で一回拍出量はプラトーに達し、続いて減少に転じます。
収縮機能障害による心不全(下の曲線)
曲線全体が下方向に移動します。
これは前負荷とは無関係に一回拍出量が減少することを反映した変化です。
正常な心臓と同じ前負荷では、十分な心拍出量が得られません。
前負荷を増やしても曲線の傾きが小さいためほとんど心拍出量増加は期待できません。
更に前負荷が増大すれば、心臓への負担が増すと同時にに肺鬱血を来すことになります。
心不全+治療(中央の曲線)
治療により収縮能が増せば、同じ前負荷であっても一回拍出量は改善します。
しかし、正常には戻りません。
心不全アセスメントポイント4
NYHA分類
身体症状は患者の訴えや表情、動作などを観察して総合的に判断する必要があり
患者の日常生活の範囲や症状などの詳細な観察とアセスメントが必要です
NYHA Ⅰ度
通常の身体活動で症状なし
疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛がない
NYHA Ⅱ度
通常の身体活動がある程度制限される
階段や坂道歩行などで疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛がある
NYHA Ⅲ度
通常の身体活動が行動に制限される
安静時に症状がないが、通常以下の労作(平地歩行など)で疲労、動悸、呼吸困難、狭心痛が生じる
NYHA Ⅳ度
安静時でも症状出現
安静時にも強い呼吸困難
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看護師復帰ブログでは現役看護師がネフローゼ症候群に罹患し
職場復帰を目指して奮闘する日々を綴っています
約10年看護師として勤務後一旦異業種で働き再び看護師復帰をした経験があり
ネフローゼ症候群に罹患し、休職、療養生活中、職場復帰を目指しています
初めて入院にまで至った病気、ネフローゼ症候群について、入院の経緯をお伝えし
少しでも同じ症状の方の療養生活の参考になればと思います
その時々の不安や悩み、また参考になったこと
看護の知識もちょっとずつまとめてアウトプットしています