心不全診断基準のBNPを活用した心不全治療管理について、またサクビトリルバルサルタン〈ANRI〉について記載しています。
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ポイント1:BNP/NT-proBNPを用いたカットオフ値
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ポイント2:BNP/NT-proBNPを用いた多職種による包括的な疾患管理
最近のメタ解析
心不全診療においてBNP/NT-proBNP値に応じたガイド下治療の予後改善については、死亡率の低下や心不全再入院の抑制と示唆されています。
急性心不全による入院患者
退院時のBNP/NT-proBNP値が入院時の30%以上低下(改善)
⇒退院後の予後(死亡や心不全の再入院などの心血管イベント)が良好であると報告。
慢性心不全管理
過去のBNP/NT-proBNP値を参照し、個々の症例に最適なBNP/NT-proBNP値を見つけます。
⇒その値を目標として、定期的に測定をし心不全管理を行う。
前回と比較しBNP が40%以上、NT-proBNP が30%以上上昇した時
心不全の増悪を考慮し、その原因を探索し、早期介入することが必要です。
心不全管理においてはBNP/NT-proBNP値を参考に最新の心不全診療ガイドラインに準じ た標準治療薬の強化を含めた適切な治療介入、生活習慣の是正(禁煙、断酒、減塩、食事や運動の適正化など)、多職種による介入などを含めた包括的な疾病管理が重要です。
ポイント3:BNP/NT-proBNPを用いた薬剤調整
※日本循環器学会、日本心不全学会、急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年度改定版参照
❶増悪時はβ遮断薬の増量はしないほうがよい
❷安定しているときこそβ遮断薬を増量してほしい
❸BNP値が悪化したときは利尿薬の用量調整(増量・多剤)の検討をしてほしい
❹うっ血性所見がないときは利尿薬の用量を少し減らせるかもしれない
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ポイント4:BNP/NT-proBNPを個々の症例にあった目標値
BNP/NT-proBNP値のみでは基礎心疾患までは判断することができません。
症状、徴候、心エコーを含め他の検査と合わせて総合的に判断し、基礎疾患を考慮し心不全診療ガイドラインに準じた標準治療薬を含めた適切な治療介入が求められます。
過去のBNP/NT-proBNP値を参照し、個々の症例に最適なBNP/NT-proBNP値を見つけます。
そしてその値を目標として、定期的に測定し心不全管理することが推奨されています。
ポイント5:サクビトリルバルサルタン
ネプリライシン阻害薬であるサクビトリルとアンジオテンシン受容体拮抗薬であるバルサルタンの1:1複合体で心不全・高血圧症治療のための合剤です。
この組合せは、アンジオテンシン受容体・ネプリライシン阻害剤(ARNI)と表現されます。
駆出率の低下した心不全患者において、ACE阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗剤の代替として使用することが推奨されています。
サクビトリル
ネプリライシン(NEP)阻害作用⇒ナトリウム利尿ペプチドの作用亢進に寄与する
バルサルタン
アンジオテンシンIIタイプ1(AT1)受容体拮抗作用⇒リモデリング抑制作用
ポイント6:サクビトリルバルサルタン投与時の注意点
サクビトリルは、BNPを含むナトリウム利尿ペプチドを分解する酵素の活性を阻害します。
そのためサクビトリルバルサルタンの投与開始から8~10週目ころまでは、若干ではありますがBNPの上昇が報告されています。
投与初期の一時的なBNPの上昇を、心不全の悪化と誤解しない注意が必要です。
8~10週経過以降の、BNP/NT-proBNPの上昇は予後不良と関連しており、心不全患者の慢性期管理に用いることができます。
もっと詳しく知りたい方には
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看護師資格あるし復職しようかな?ブランクありの求人も掲載中【看護師求人EX】現役看護師がネフローゼ症候群に罹患し、職場復帰を目指し奮闘する日々を綴っています。
約10年看護師として勤務後一旦異業種で働き再び看護師復帰をした経験があります。
ネフローゼ症候群に罹患し、休職、療養生活中、職場復帰を目指しています。
初めて入院にまで至った病気、ネフローゼ症候群について、入院の経緯をお伝えし
少しでも同じ症状の方の療養生活の参考になればと思います。
その時々の不安や悩み、また参考になったこと、看護の知識もちょっとずつまとめてアウトプットしています。