人工呼吸器関連肺炎
今回は人工呼吸器関連肺炎(VAP)と予防について記載します
自分の経験や、初めて入院にまで至ったネフローゼ症候群について
入院の経緯・療養生活の不安などをお伝えし少しでも同じ症状の方の
療養生活や看護や仕事の悩みの参考になればと思います
看護の知識もちょっとずつまとめてアウトプットします

Ventilator Associated Pneumonia : VAP
人工呼吸器関連肺炎(Ventilator Associated Pneumonia : VAP)
入院時や気管挿管時に肺炎がなく気管挿管による
人工呼吸管理開始後 48~72 時間以降に発症する肺炎と定義されています
※肺炎患者が挿管になり人工呼吸器管理となった場合は含みません
VAPの発症は挿管後最初の10日間が最も高い。
VAPは、機械的人工換気下の患者の9~27%に発生する
問題点
①診断が困難である
②発症すると治療コストと予後の点で悪化につながる
③耐性菌の分離率が有意に高い
④人工呼吸期間や入院の期間の延長につながる
ポイント1原因菌
グラム陰性桿菌(Gram-negative bacilli)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
最も頻度の高い病原菌であり、抗菌薬耐性菌が重要な懸念事項です
抗菌薬耐性菌
細菌が1つ以上の抗菌薬に対して感受性がない抗菌薬が効かないこと
細菌に感染した場合、感染した細菌の一部は既に抗菌薬に耐性を持っていることがあります
抗菌薬を使用すると、耐性菌が中心となって体内で増殖する可能性があります
ポイント2VAP危険因子
気管挿管による危険因子
気道防御機構が侵害される
咳嗽および粘膜線毛クリアランスが障害される
気管内チューブのカフ上に貯留する細菌を含んだ
分泌物の微小吸引が起こりやすくなる
細菌が気管内チューブの表面および内部にバイオフィルムを形成する
再検のバイオフィルムにより抗菌薬や宿主防御から細菌が保護される
ポイント3症状

症状
①発熱
②白血球数の増加
③酸素化能の低下
④気管分泌物(膿性の場合がある)の増加
ポイント4診断および治療
診断
臨床像と胸部X線所見
血液培養で呼吸器分泌物から検出されたものと同じ病原体が同定される
気管支鏡で下気道から採取した検体の定量的なグラム染色および培養により確定される
治療
抗菌薬
予後
全体的な予後は不良であり一部は併存症によるもの

ポイント5VAPバンドル
バンドル
VAPを予防するためには予防策を単独で行うのではなく
できる限り予防策をひとまとめにして行うと良いとされています
複数の予防策をひとまとめにして行うことをバンドリングと言います
VAP予防のための行動目標を達成させる取り組みで米国IHI
欧州ICU学会・日本においても日本集中治療医学会から発表されています
①手指衛生
②人工呼吸器回路の交換
③適切な鎮静・鎮痛(過鎮静の回避)
④毎日離脱表
⑤仰臥位管理をさける
※米国IHIや欧州ICU学会には口腔ケアが含まれます
ポイント6VAPと口腔ケア
標準的なアセスメントとプロトコールに基づいた高頻度の口腔ケアを行うことを
「包括的口腔ケアプログラム」と呼びます
これを遵守するとVAPの発症率が低下するとされています
患者の口腔内の状態にアセスメントし正しい方法でできるだけ多くケアを提供します
ブラッシング
ブラッシングによる歯垢の除去と洗浄、清拭法による汚染物の回収にて良好な口腔環境を確立する
維持ケア
手順を簡略化し頻回に実施することで口腔の湿潤を保ち良好な口腔内環境を維持する

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