せん妄と鎮痛・鎮静
今回は看護知識:鎮静とせん妄について記載しています
「せん妄によってルートトラブルが引き起こされたり
転倒リスクが高かったり」することが多かったです
鎮痛・鎮静について
気管内挿管・人工呼吸器管理中の患者は気管チューブ
カテーテル、術創などによる疼痛、苦痛にさらされていることを前提に管理が必要です
疼痛、苦痛の評価は医療者の観察より、患者本人の評価が適切です
鎮痛薬、環境調整やメンタルケアを行っても患者の苦痛が軽減しない場合は
鎮静薬を使用することで患者の安全安楽を得ることができます
鎮静にベンゾジアゼピン系やプロポフォールを用いるとせん妄を誘発することが指摘されています
そのためできるだけ軽い鎮静もしくは鎮痛薬のみを用いて鎮静を行わない管理が推奨されています
安易に鎮静薬を使用せず投与量を減じて過鎮静を避けるためには
鎮静レベルを評価し適切に投与量を調整することが重要です
日本呼吸療法医学会のガイドラインでは鎮静の評価方法として
RASS(Richmond Agitation Sedation Scale)を推奨しています
RASSは不穏も鎮静も段階的に評価できる点で有用です
もっと詳しく知りたい方には
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RASSの評価方法
方法:0 を中心に 10 段階に分かれ、プラスでは興奮、マイナスでは鎮静が強いと評価する
ステップ1
30 秒間、患者を観察する。これ(視診のみ)によりスコア 0〜+4 を判定する
ステップ 2
①大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う
②10 秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す
以上2項目(呼びかけ刺激)によりスコア -1〜-3 を判定する
③動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する
身体刺激によりスコア-4、 -5 を判定する
RASSスコア
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せん妄評価
人工呼吸管理中にしばしば不穏・せん妄を呈する患者がいます
せん妄は予後不良因子であることが明らかにされていますがまだ病態生理は明確にされていません
患者の重症度や低酸素血症・感染症の有無など準備因子
直接因子、促進因子との関連性が指摘されています
せん妄についてはこちら
RASSを用い鎮静レベルの評価を行うと続けてCAM-ICUでせん妄の有無を判定できます
せん妄対策
①理学療法
人工呼吸管理中であっても早期からリハビリテーションを施行するとせん妄の発生を抑制できることが示されています
人工呼吸管理中から早期離脱・早期離床に加えて予後改善効果も期待されます
②人工呼吸器離脱評価(SBT)
全身状態が安定していれば鎮静を切るか、浅くして一日一回人工呼吸器離脱の評価(SBT)を行います
SBTについてはこちら
対策を組み合わせて「ABCDEバンドル」として行うことが推奨される
A:毎日患者を覚醒させよう
B:呼吸(毎日人工呼吸器離脱を試みよう
C:AとBの組み合わせ(毎日の鎮静中断と離脱トライアル)
D:せん妄のモニタリング
E:運動療法と早期離床
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